賢押杯が多くの方を集める大会の形式をとるようになってから11年と少しが経ちました。
賢押杯は、クイズゲームをプレイされている方向けのオフラインのクイズの大会、という体裁で始めた大会ですが、クイズゲームとオフラインクイズとの関係や距離感、参加者の皆さんに求められていること、なにより私たちが皆さんにお見せしたいといったものが、常に少しずつ変化してきました。以前からいらしている方は、今回も様々な部分で「賢押杯の変化」を感じていただけたのではないでしょうか。
賢押杯がクイズの界隈から求められていた最も大きな要素として、クイズゲームとオフラインクイズの橋渡しというものがあるかと思います。クイズゲーム中心の方々にはオフラインクイズのオープン大会の文化を、オフラインクイズ中心の方々にはクイズゲーム、店舗大会、もっと言えばeスポーツとしてのクイズゲーム、といったものをそれぞれご紹介する場として機能させてきたつもりでおります。私たちとしては、そうした橋渡しの役割はすでに十分に果たせたのではないかと思っています。他方で、先ほど申しました色々な変化によって、現状では賢押杯が存在すること自体が、そうした橋渡しの邪魔になっているのではないか、と何年か前から考えるようにもなりました。
具体的には、賢押杯の参加資格があるにもかかわらず、参加してもよいのか迷う方が相当数いらっしゃったことです。近年の賢押杯は、参加資格をお持ちであればどなたにもいらしていただきたい、という立場をとっていたのですが、「オンラインクイズゲーマーの大会」にこだわる方からは「それは違うのでは、オフラインクイズで実績を残した方は賢押杯への参加は控えるべき」というご意見があったことも認識しています。そうした認識の齟齬が近年表面化してきた印象があります。
賢押杯という枠組みにこだわることも一つの選択肢ではあると思います。ただ、先述のような認識の齟齬がある限り、「賢押杯」という名前で大会を続けるのは不幸な結果を生む可能性が高く、そのような状況で責任をもって大会を継続することは難しいと結論付けた次第です。
大会当日ご挨拶させていただきました通り、賢押杯という形で大会を開くのは今回で一段落とさせていただきます。
ただ、賢押杯が今まで作ってきた技術や方法論、人のつながりは紛れもない財産だと思っています。この財産を活かした大会、たとえば、他のオープン大会と少し違うジャンル分けや問題傾向、参加者全員が一定の時間クイズに参加できる企画内容、大規模な演出といった、賢押杯が標榜してきた方向性の延長にある大会を、後継イベントとして検討中です。いままで賢押杯のことを支持していただいた皆さん、賢押杯のことは気になっていたものの参加できずにいた皆さん、どちらにも喜んでいただけるような大会をご用意できれば、と模索しております。
ありがとうございました。